2020-01-10
水彩画の制作依頼はさまざまな縁でやってきます。事実は小説より奇なり。まるで奇蹟のような、画家とお客様と、そして絵の出会いがありました。
絵のオーダーをくださったのは、銀座の個展でご縁をいただいた、茨城におすまいのHさんでした。昨年の暮れのことです。
「古山さん、震災前に南三陸町は取材していますか?実は両親に美しかったときの南三陸町の絵を贈りたいのです。」
「ええ、取材して描いています。震災のちょっと前ですが…。当時描いた絵のデータを送りましょうか?オリジナルは嫁いでしまってないのですが、戸倉藤浜という小さな漁港を描いた水彩画です、、、。」
「え!?戸倉、を描いているんですか??実家はその戸倉なんですよ!!」
2011年の2月、取材で訪れていた戸倉藤浜。震災後も同じ浜を訪れています。それほどまでに自分の感覚にぴたっと来た漁港でした。「その絵を再度描いてはくれないだろうか?」と、とHさんは言葉をつなぎました。
絵が完成しお届けした翌日、Hさんから「実家にすぐに絵を届け、とても喜んでもらえました」との嬉しい便りが入りました。
掲載の許可をいただきましたので、Hさんのご実家に嫁いだ様子を紹介します。
自分がどこで立ち止まるか、道をどこで曲がるか。その道はどこかの誰かに繋がっていると信じざるを得ない出来事でした。
2011年、戸倉藤浜で震災前に描いたスケッチは、2020年の今に繋がっていたのです。
明日10日から倉敷のつづきの絵本屋さん開催中の「絵本版海の見える丘」原画展にご挨拶のため、4日ほど倉敷、神戸に旅の空です。
神戸倉敷への旅はまたどこかの誰かとつながっているんだろうな。