2022-01-17
この絵は、見て描いた水彩画ではありません。状況を聞いて、資料に当たり、構図を頭の中で考えて描いた絵です。
石巻市旧大川小学校・大川震災伝承館でその絵たちは見ることができます。
2011年3月11日、尊い命がたくさん失われた東日本大震災。石巻市大川地区の旧大川小学校は震災遺構として残され、震災の記憶を今に伝えています。
その敷地の隣に建てられた「大川震災伝承館」館内展示用のイラストを手がけました。
一瞬で消えてしまった地域の記憶。そこには伝統行事、季節ごとのかけがえのない暮らしがありました。地元住民の皆さんから直接お聞きして描き上げた数十点がモニターでみることができます。
絵で何ができるか?多分答えは描き手の数だけあります。
聞いて、想像して、構図を考えて、描く。それが仙台で震災を体験した「イラストレーター」のぼくにできることでした。
下絵とともに一部紹介いたします。
例えばこの構図の写真はありません。ぼくがラフスケッチを起こして「こんな感じでしたか?」と住民の方に見ていただいて確認したのちに描いた絵です。
「法印神楽」です。ヤグラの組み方も聞き取りからラフスケッチを起こしました。踊りや衣装は残っている資料映像を参考にしています。
北上大橋で釣りをする子供達。この橋は津波で流されることなく残り、今も使われています。
(画材:セザンヌ水彩紙にセヌリエ透明水彩絵の具)