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水彩画と文を担当している旅エッセイが掲載された「メルカート」が手元に届きました。裏表紙のエッセイを担当していますが、エッセイですから徒然なるまま。というわけで、毎回切り口は変えています。
今回は正岡子規が歩いた秋田を取り上げています。
以下、エッセイをアップします。正岡子規の旅を辿る楽しさが伝われば嬉しいです。(ちなみに拙著「子規と歩いた宮城」は当サイトのショップで通販可能です。ご希望の方はContact usよりお問い合わせください。)
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秋田・大須郷
「夕 陽 に 馬 洗 ひ け り 秋 の 海」 正岡子規
これは、山形県吹浦で日本海に落ちる夕陽を詠んだ、正岡子規の句だ。明治二十六年、子規は上野から鉄道で東北入りし、著作「はて知らずの記」に多くの俳句と当時の様子を残している。
以前の連載でイザベラバードの辿った山形県飯豊を取り上げたが、私の絵の風景モチーフを探す方法の一つが、紀行文に書かれた道を辿るという手法だ。それは書き手の思いの追体験といってもいい。
宮城県から山形県に徒歩で入った子規は、大石田から最上川を舟で下り、清川で上陸する。酒田、荒瀬、遊佐と羽州浜街道を歩いて北上、吹浦で冒頭の句を詠んだ。
吹浦の海岸で陽が沈み、子規が宿を求めたのが、秋田県に入ってすぐの大須郷だった。「はて知らずの記」には、「行き暮れて大須郷に宿る」とある。
今まで私も日本海に沿ったルートを何度も旅してきた。しかし、子規の紀行文を読んでいなかったならば、大須郷は立ち寄ることさえなかったように思う。
家並みは変わったかもしれないが、子規が感じた風の中に自分が立っている。そう思うだけで、大須郷の素朴な田園は心に迫る風景となった。
(一部ブログ向けに改訂)
晩翠画廊個展と、時期同じくグランドオープンしたイオンモール新利府。
発表したのは水彩画とアニメ風なイラストレーション、一見すると全く反対のベクトルですが、どちらの仕事もテーマは震災から10年の節目。自分なりに同じ方向でじっくり考えた制作でした。
個展は「こう感じてほしい」という意図を汲んでいただけたようでほっとしつつ幕を下ろしました。
イオンモール新利府のイラスト壁画は、来店者が未来への夢と希望を7センチ四方前後のカードに書き、壁画に貼り付けて行き3/11にコラボ完成。イラストに貼られたメッセージは、808枚に登りました。
壁画展示の最終日、16日。フリーアナウンサー宮田敬子さんの司会で、私のトークセッションがイオンモールイベントスクエアで行われました。内容はイラスト制作の舞台裏。イラストに登場していたキャラクターの創作裏話や、フィニッシュに至るまでのラフ、カラーラフを紹介しつつ、どのようにアイデアを発想し描いていくかを話しました。
下絵を描くときの考え方、また、普段は表舞台に登場しない下絵やアイデアスケッチを楽しんでいただけたようです。
せっかくですので、ブログでもトークで触れたラフをご紹介します。
↓これは、最初に描いたラフスケッチ
↓続いて2案目
↓以下が本制作へと繋がるラフ画です。
↓↓絞り込んだ2案にざっくりとペインターで着彩
最終案に決まり、下絵を鉛筆で起こします。
フィニッシュ。さて、ここで間違い探しです^_^。清書の段階で、下書きのなかの4箇所を変更しています。さて、どこでしょうか?(葉っぱの枚数・木の本数は除きます=…って小さすぎてわからないですよね=笑)
答えはこちらです
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↓
↓
↓
10年目の3.11があと数日でやってきます。
9日からの晩翠画廊開催の個展「海のFuga [風画]3.11への手紙」の準備は梱包がすみ、あとは搬入するのみです。
実はこの個展制作と同時進行で「神戸個展・旅の空は遥か色」の制作が進んでいます。神戸は2回目。
なぜに神戸か?
実は3.11が絡んでいます。
10年前の震災のとき、流れで個展をしていたギャラリーに神戸からきたボランティアの方が立ち寄り、絵を求めてくれたのでした。「絵を買うのも支援だから」と言ってくれた神戸の人がいたのです。
神戸で個展をいつか必ず。そう決めて初めて神戸開催したのは2年前でした。
やりたいことがあっても、すぐにできるわけではない。8年経って叶うこともある。あきらめずに日々を成すと道は突然ひらけるように思います。
絵はイギリスヨークシャー、ウィットビーの港。絵の向こうに広がる海原と道は、同じなんだ、きっと。
ウィットビー
https://shinrifu-aeonmall.com/news/event/5
https://shinrifu-aeonmall.com/news/event/5
アルティオにいらしてくださっているお客様に、書家の天艸悠月さんがいます。
その天艸さんが第70回書道學舎展・公募の部最高賞の文部科学大臣賞をご受賞なさいました。おめでとうございます。
書かれた言葉は、
「今を生きる誰もが太古からの記憶をのせた舟」
実はその作品に書かれた言葉は、アルティオの画家、古山拓の言葉でした。
過去に古山が描いた抽象画に添えていた一文からの抜粋です。
(絵は古山がヨーク博物館で見た「発掘された真っ黒なタペストリー」からインスピレーションを得た作品「航路の記憶」でした。)
絵を描くことも、書を書くことも、表現は全ては見聞きし感じた実体験からの発露なんだと改めて感じ入りました。
ここに天艸悠月さんの受賞作品と、受賞に寄せた文を転載させていただきます。
素晴らしい書に昇華させてくださり、心より感謝申し上げます。
改めてご受賞、おめでとうございました!
以下は拙作の抽象画「航路の記憶」です
■ 2021/2/16更新 ■
徳島県在住の児童文学作家くすのきしげのり先生が立ち上げた「絵本・応援プロジェクト-Yell2021」が出版業界紙「新世界」で取り上げられました。
古山拓が手掛けたロゴイラストのことについても触れています。水彩画家としての認識されがちな古山ですが、こんなイラストも手がけます。
絵本作家、出版業界、書店、読み聞かせ団体、個人と、絵本を愛する方々をつなぐことで新しい良き波が起こることを願っています。