• facebook
  • instagram
  • twitter
  • note
  • tumblr

x4160677

約束の樹-Betws-y-Coed/Wales

台風の被害で関東は大変なことになっています。
私たちの暮らす仙台は被害は無かったのですが、東日本大震災時にライフラインが途絶えたときのことを昨日のことのように思い出しています。
一刻も早く被害に遭われている皆様の元に電力が供給されるよう祈っています。

台風が東北へ駆け上がってきているまさにそのとき、私たちは雨脚と架けっこするように岩手県北上市にクルマを走らせていました。
訪問先は、介護施設「さくら爽」様。
宮城と岩手の県境を過ぎると、岩手は見事に晴れて青空が。オーダーいただいていた水彩画とジクレー複製版画を無事納品することができました。

さくら爽のオーナー様との縁は2005年の盛岡川徳デパートでの個展にさかのぼります。
一点の水彩画を嫁がせていただいたことがきっかけでした。
当時お求めくださった水彩画は、盛岡の駅前「開運橋」から岩手山を見たアングルの一枚でした。奇しくもその絵の中にオーナー様のご実家が描かれていたのです。

その後も何点か嫁入りさせていただき、そんなご縁で介護施設のロゴマークや施設水彩画を制作させていただいたのです。
今回の描いた絵は、このたび施設が増築されたことに伴って、新しい角度でのオーダーでした。

本画は8号Mサイズです。そう大きくはありません。
が、ジクレー複製で1.5メートル×1メートルの額に複製を入れてほしいとのオーダーもいただきました。
入居する方や訪れる家族が通るエレベーターホールにも設置したいとのことでした。

「古山さんの絵は暖かくて「いい絵ですね」と来訪者から声をかけられるのです。施設の従業員がそんな絵を通して来訪者と交流できることで、あらためて働く職場に仕事の誇りを持ってほしいのです」
そんな想いに緻密な複製と額装に応えてくれたのは、十数年のおつきあいのある、東京のジクレー版画工房と仙台の額縁屋さんでした。

写真はエレベーターホールに架けられた絵を前に記念撮影のオーナーご夫妻と私たちです。
心からありがとうございました。

納品をすませたあと、私たちは北上市の隣、水沢市の国立天文台へ向かいました。
来年のGW直前に開催される盛岡川徳デパートでの個展の仕込みのための訪問でした。

ここ数年、宮沢賢治のCDにからむイラスト仕事をいただいていますが、あらためて賢治を画家目線で調べています。
「風の又三郎」に緯度観測所が登場します。それは、今の水沢にある天文台です。
銀河鉄道の夜や風の又三郎は、岩手の大きな宙と繋がっているのです。

天文学の「時の流れ」で見るなら、賢治の時代も令和の今もあっという間の瞬き一瞬。同じ時代に生きていると言っても過言ではないと感じました。

空を見上げる巨大なパラボラアンテナが、遥かな星空に想いを馳せる宮沢賢治に見えてなりませんでした。

 

古山拓個展〜旅の水彩物語

会場/仙台・藤崎百貨店・本館六階美術ギャラリー
会期/2019/9/26(木)〜10/2(水)

藤崎住所:仙台市青葉区一番町3丁目2-17

ヨーロッパ、東北の風景水彩画、そしてあらたな表現の作品を含む50点前後を展示します。

透明水彩で描き出された作品達から、みなさんそれぞれのストーリーを紡ぎ出していただければ嬉しいです。ぜひ、ご来場ください。

また、申し訳ございません。9/26〜10/2の藤崎個展会期中は、店主も作家も藤崎会場に入るため店舗臨時休業となります。ご了承くださいませ。
絵のオーダーやお問い合わせは、メールまたは、携帯までご連絡ください。

イングランドの平原を描いた透明水彩画

DM案内状作品-「平原に立つ・イングランド風景」

「終わりと始まりのはざま」

情報誌メルカート・背表紙
絵と文のしごと__イラストレーターの旅エッセイ

「家のバルコニーから毎日海を見るのを楽しみにしているのです。窓から見た明石海峡を描いてほしい。」
そんなハードルの高いひと言をいただいたのは、今年5月の神戸個展会場トアギャラリーでした。
承知しました、と、個展の会期中にお客様のご自宅へ訪問。窓から見た風景に驚きました。180度、見事な瀬戸内海。

ようやく水彩画が完成し、お客様の元へ発送しました。
宅急便到着予定日、「色合いが絶妙!とても満足しています」とのメッセージとともに、架けられた絵の写真が送られてきました。

住まいは思い出の器です。取り壊される前の歴史建造物。人出に渡す前のすみなれた家など、住まいに関するさまざまなオーダーもいただきますが、「窓辺の風景」もそのひとつです。

普段見慣れた窓辺の風景も、唯一無二。美しいものだからこそ、必死に鬼の形相で描きます。ありがとうございました!

オーダーご希望の方は、さらりお気軽にこちら(オーダーページ)からどうぞ^_^

 

 

トップ写真は、絵の嫁入り先の風景です。

札幌のMさんが、先日仙台を訪れた際に「ちび絵」をお求めくださり、「小さな小さなちび絵展です。早速架けました」というメッセージとともに、嬉しい写真を送ってくれました。(「ちび絵」とは、「手のひらサイズの額に入った小さな水彩画」のアトリエアルティオオリジナルネーミングです。)

嫁いだ水彩ちび絵は「ポルトガルの扉」です。
ポルトガルの扉は、本当に表情が豊かです。いままで何枚も制作していますが、ことごとく嫁いで行っています。扉にみなさんそれぞれのストーリーを見いだしてくれるから、なのかもしれません。

そしてMさんは、「イタリア製の素敵な額をみつけたので、ちび絵にしました」とアルティオのショップリーフの表紙もあつらえてくださいました。
二つ並んだ嫁ぎ先の風景は何より嬉しいものです。
Mさん、ありがとうございました!

+++
すすめていた、くすのきしげのり先生との絵本のイラスト全ページが手を離れました。アイデアスケッチ、ラフ、そしてフィニッシュへたたみかけた半年でした。

今回のイラストは、今までの表現とはひと味違うものになっています。
誰も見たことが無いけれど実在していたかもしれないような、そんな世界の住人達が物語をすすめます。
世界に生み落とされた絵本は、出版後にどんどん世界が広がって行く不思議ワールドです。今からどんな広がり方をしてくれるのか、楽しみです。

絵本は秋に刊行予定です。いましばらくお待ちください。出版社の星の環会さんから詳しい情報が入りましたらまたお知らせします。

 

 

筆は、描く仕事の必需品です。筆一本で制作のはかどり方が違います。そんなわけで、私が使っている筆を紹介します。あ、そんなに高価な筆は使っていませんよ。
普段使っているのは、写真の筆です。カランダッシュの混毛赤軸や、青葉画荘オリジナルのコリンスキーなどです。(青葉画荘のこの筆は、素材の割に低価格で良心的な筆でしたが、コリンスキー高騰につき、残念ながら絶版になってしまいました。)



そんななかでお気に入りの筆に、友人イラストレーターS氏からいただいた筆があります。スペイン・ピカソ美術館のお土産です。(トップ画像)
ミュージアムグッズですからセーブルやコリンスキーではなく、多分ナイロンだと思います。
ところがです、これが途方もなく(!)使いやすいのです。
今まで使ってきた筆の中で、三指に入ります。

いただいて2年、ナイロンとは思えない水の含みと穂先のそろい方で、まだまだいける。
ミュージアムグッズでこの品質。ヨーロピアンブラシ、おそるべしです。
ダメになったら…変わりがありません…。スペインまで行くしかないか。。。誰かピカソ美術館に行く方いれば、まとめ買いお願いしよう(笑

 

 

 

奥会津に近年台湾からの観光客が集まっていると聞きます。また、青森にもたくさんの外国人観光客が来ているとも。
東北を俯瞰しているわたしの目線と、外国人観光客の興味が一致するのは偶然なのか、必然なのか。

生まれ育ったみちのくを旅しはじめたのは20年前のことです。20代〜30代のヨーロッパ放浪ののち、とあるきっかけでそれまで見向きもしなかった東北をまわりはじめました。

ポイントは異国目線。

異国を旅する感覚でみちのくを歩くと新鮮な風景に出合えました。おのずとそれらの旅は感動を見いだすクセを培ってくれました。
普段見慣れている世界に感動する、という気持ちには、「心の角度の切り替え」が必要なのです。(それを異文化、異空間の海外旅行では意識せずに切り替わっている)

奥会津の集落と自然、津軽下北独特のラテン(!)な空気感、岩手の絶品開拓酪農地、秋田、山形の日本海に面したシブ系漁村は、観光資源の原石。

ここ数年、こと東日本大震災後、東北にインバウンド=海外からの旅行者を呼び込もう、という流れが大きなうねりになってきています。その目線に絵描き取材で培った体験を役立てることはできないものか、、、と、つらつら考えています。スケッチツアーを組もうということではありません。感動の角度をフィードバックできないか、ということです。

絵は山形の日本海風景。鶴岡から鼠ケ関に南下する途中の漁村印象です。
幹線国道を走っていては、こんな風景にはまず辿り着けません。
脇道のそれて,立ち止まって耳を澄ます。
すると、今まで見たつもりになっていた風景は、その音まで聞いていなかったということに、はた、と気づきます。

目をつぶることで心に刻まれる、いわゆる心象風景。観光誘致のヒントはそんなところに眠っているように思えるのです。

山形由良から鼠ケ関までのルート沿いの小さな港めぐり。大きな夕陽を眺めながら岸壁に寄せる波音に耳を立てる。大好きな時間です。

遥かトスカーナ

トップ絵は、ひさしぶりの新作水彩画アップ。シエナの町です。仙台藤崎百貨店での個展:9/26(木曜)〜10/2(水曜)〜が一ヶ月後に迫ってきました。
同時に絵本の仕事が動いています。鉛筆を持つ手もそんなわけで毎日動いています。

この週末、仙台で絵本のフォーラムが開催され、全国から絵本セラピストさんや図書館関係者が杜の都へ集まり、大きな盛り上がりを見せました。(といっても私は関係者ではなかったのであとから知ることになりました。)

絵本セラピストさんと、ここのところ繋がりが深まっています。5月開催した神戸トアギャラリーでの個展では、大阪の絵本セラピストさんと友だちになったり、その後、北海道のセラピストさんがアルティオまで遊びに立ち寄ってくれたり。今回も北海道、新潟からのフォーラム関係者の方々が立ち寄ってくれました。ありがとうございました。

水彩画を描くことが絵本というフィールドに少しずつ広がっていき、いままでは知り合う術も無かった、そんな絵本を広める皆さんと繋がりが生まれ、本当にありがたいことです。
新作「海の見える丘」(くすのきしげのり・作/古山拓・絵/星の環会)は今秋出版予定です。みなさんにぜひ手に取ってほしいです。(画像は告知用の絵)



週末、アトリエアルティオの外にあるプロパン収納庫にお手軽ウォールアートを描きました。殺風景だった収納庫に描いたのは花。筆代わりに使った画材は、食器を洗うスポンジです。
水彩でも絵本の世界でもなく、気分は壁塗りトムソーヤー。(物語の「ペンキ塗り」の下りが好きなのです)
ギャラリーは仙台市内の目抜き通りのひとつ、定禅寺通りから徒歩数分ですので、何かのついで見にお立ち寄りください。