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昨日までのお客様と会う一週間とうってかわって、今日の一日は、気持ちを空っぽにする日でした。

朝イチからの教室のあと、両親の用足しのドライバーで一日が終わりました。そんな日も大事かな。昨日までの二人展一週間はみごとに晴天の七日間でしたが、今は雨が降っています。雨音さえも気持ちがいいです。

昨日、二人展閉場まぎわに娘が会場へきてくれました。そして、こう言ってくれました。

「自分が社会に出て、2人(私と妻)が企画展をし続けること、普通じゃない!と思うようになったよ。2人だけなのにさ、つぎからつぎへよくもまあテーマを考えて,描いて、かたちにしていくよね。信じられない!」

彼女の向こうに、かつて幼かった頃一緒に旅したアイルランドの空が、ふわっと広がった気がしました。

「今日は休みなんだ。よかったら晩ご飯をふたりで食べにこない?」

妻と店の鍵を閉め、帰る途中、娘のアパートに立ち寄りました。メニューは和風麻婆豆腐と豚汁、キノコの炊き込みご飯。どんな高級料理店の味とサービスも敵わない、それは最上のごちそうでした。

写真は、アイルランドの西の果て、アラン島の砂利道をかけていく娘。すべては石だらけの島からはじまったように思えました。すてきなほど何も無い島だったけれど。

 

 

 

文学部出身絵描き古山と文学好き人形作家藤村みゆきさんの企画した、アートなお祭りが終わりました。 ご多忙の中足を運んでくださった大勢の方に、深く感謝申し上げます。

展示が終わるたびに書いていることですが、私は撤収後のまっさらな壁面を前にしたときの感覚が大好きです。 その感覚をたとえるなら、旅先で気に入って予定以上に滞在した街を去る時、宿のドアを開け「さて次の街へ」という朝。その朝の感覚と同じなのです。

次の街は、神戸。

5月11日から神戸三ノ宮のトアギャラリーで個展です。

いい出会いとご縁が待っていてくれそうです。 24日水曜日は、リセットのためアルティオは臨時休業します。   ビジュアルは神戸個展のDM使用作品、「アイリーンドナン城」です。

見えざる何かが導く日って、たしかにあります。

いつも企画展のたびにいらしてくださるお客様が、一人の女性を連れてきてくれました。女性と私は初対面です。

『ランチを食べていたら、仕事仲間の彼女と一緒になってね…。彼女に今から「古山さんのアトリエギャラリーへいくんだ」というと、鞄から古山さんの絵本を取り出してきてさ。こりゃあ、一緒に行かねば、というわけで連れてきたんですよ。ちなみに彼女は絵本セラピスト。宮城県の認定第一号』

その女性がにこにこと鞄から取り出した絵本は,くすのきしげのりさんとの共著「あなたの一日が世界を変える」(PHP研究所)でした。

きくと毎日気になる好きな絵本を持って外出するとのこと。その日に限って「あなたの一日が世界を変える」だったそうです。

その女性が早速SNSにその日のエピソードとしてアップしてくれたのですが、北海道在住の絵本セラピストが偶然にもその記事を目に。その方もこれまた偶然にも仙台にいらしていて、忙しい時間の合間を縫ってアルティオに立ち寄ってくれました。

私が「あなたの一日が世界を変える」の絵を描くきっかけとなったのは、奇遇が過ぎるほどの偶然の重なり合いでした。そして、今また「何か」が絵本から生まれようとしている感じを受けました。

絵本を描くのは、ただ絵を描くのではありません。描かれるのは架空の世界なのですが、私の頭の中では目の前に広がる世界と同じほど、「リアル」なのです。そこまで想像をフィックスさせないと登場人物が動き出してくれません。ある意味、地球の裏側で起こっている=見ることができないけれど確固とある世界=と同じ存在として、私の現実世界には絵本に描かれる世界が存在しているのかもしれません。
そして、何かが起こる必要なタイミングに、目の前の世界に働きかけ、必要な出会いを紡いでくれるようにも思えるのです。

そう考えなければ,今回の絵本セラピストのお二方との出会いは、宝くじに当たるかのごとき奇跡的タイミングのように思えます。

想像の世界であっても、リアルに感じられるならば、現実として目の前にあらわれる、のかもしれません。下の絵は、絵本「あなたの一日が世界を変える」の世界を作り上げるにあたって私が描いた街の俯瞰図です。絵本では見開きに使われています。

そういえば、今日はぶどう畑のイラストラフを描いていました。

これも「あなたの一日が世界を変える」のぶどう畑のページが、なにかのかたちで今に現れてきているのかもしれません。そう考えるだけでワクワクが湧き上る、まさに絵本マジックです。

いつも心を休ませてくれるカフェ、モンサンルゥさん。

今開催中の二人展をブログでとことんうれしく紹介してくださいました。

こちらです→モンサンルーのブログ

ありがとうございます!

藤村みゆき×古山拓サンジョルディ企画「Bungaku CARTOON」は23日火曜日までです。
 

オリジナルストーリーボードより

文学とアートのスペシャルなコラボウィークも中日を過ぎました。今日は日曜、たくさんの方にいらしていただきました。心からありがとうございます。トップのビジュアルは、展示新作から「ウォーターシップダウンのうさぎたち」。


ギャラリートークも10席がすぐに埋まり、立ち見まで。遠くは北海道の方も。
藤村みゆきさんとの「コラボ内幕暴露トーク」もみなさんに楽しんでいただけたようでほっとしています。
伝えたかったことのひとつは、異ジャンルコラボは「壮大な?実験場」=「コラボの実験的試み=発火が、次の定番の仕事にフィードバックして行く」ということ。


お客様の中に今は現役を退いた研究者さんがいましたが、「まさしく、あなた達の言う通りです。一軒無駄に見える実験やテストの繰り返しが新しい結果を生み出すんですよ」
その言葉は私たちにおくらtれたエールとなりました。

トークを聴きにきたアルティオ常連のKyokoちゃんは、なんと、着物できてくれました。
「だって、文豪文学コラボですもの、今日はテーマに合わせて着物よ♫」
となんとうれしいことを。さすがの常連さんです。文学トーンを一段と高めてくれました。      

山形余目の家具作家桑原信之くん、通称くわちゃんもサプライズ来訪、時同じくしてミュージシャンの苫米地サトロ君も。サトロ君はいつもの突然ライブを今回も演ってくれました。偶然お店にいらしたお客さんの中には、彼の歌に涙していた方も。


私たちは本当に友だちに恵まれています。くわちゃん、サトロくん、ありがとう。

そして最後に、今回陶芸指導をしてくれた陶芸家の加藤晋さんが来訪。きもちよく中日を締めくくってくれました。あらためてご指導をありがとうございました。

明日はいつもは定休日となる月曜ですが、会期中ですのでもちろんお店を開けています。藤村みゆきさんも来場します。火曜日が最終日です。ぜひ実験コラボを皆さんの目でお確かめください。

会期中は展示のことがついブログのメインになってしまいますが、とある絵本と神戸個展の制作も早朝モードで進行中です。今進んでいる絵本は、いずれ時期が来ましたらお知らせしますね。

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正岡子規「はて知らずの記」を辿る「子規と歩いた宮城」転載連載、続きをアップします。子規は多賀城政庁跡から岩切へ。松島から仙台の戻る道中です。

岩切
蓮の花さくやさびしき停車場  子規

 私は、旅がくれる贈り物の一つに、「匂い」があると思っている。旅先で無意識に嗅いだ街角の匂い、食堂の換気、通り過ぎる香水の香り…。場所ごとに異なる匂いは現地でしか得られない。

 そんな旅先の匂い記憶が効果を発揮するのは、日常に戻ってからだ。鼻先をかすめた空気が引き金となり、ふと旅記憶が呼び覚まされる。遥かな地を空気まるごと思い出す、極上の旅のみやげだ。

 そんな嗅覚を強く刺激する場所のひとつが、駅だと思う。レールの鉄臭さをベースに、駅舎に行き交う人々の様々な想いが振りかけられているのだから、当然といえば当然かもしれない。

 今回の句は、正岡子規が多賀城から仙台に戻る途中立ち寄った岩切駅に詠んだものだ。彼は駅舎の匂いを吸い込んだ。旅を終え日常に戻った子規は、東京の空の下で、ふとした拍子に岩切の空気を思い出したのではないか、そう思いたい。

 塩釜、松島、そして多賀城とわずか二日間で史跡を訪ねまわった正岡子規。上野駅を出発した七月十九日から、数えて十二日がたっていた。
(絵と文・古山拓)

 

今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

プレゲー14

ブレゲー14を透明水彩で描く

POTEZ25

potezを水彩で描いた作品

今日はコラボ展をいっしょにやっている藤村みゆきさんを紹介したいと思います。(写真右・人形作家・藤村みゆきさん・写真左アルティオ店長・古山久美子)
藤村さんとの出会いは1997年にさかのぼります。私の初めての個展にお客様としていらしてくださったのが縁の始まりです。それ以降、毎回いらしてくださって、芳名帳に記載される程よく小さめの手書きの署名は今でもリアルに思い出すことができます。

五年前にアルティオをオープンしたときに藤村さんは私に「オープン祝いです」と小さな人形を届けてくれました。その時初めて人形作家さんと知ったのです。人形の造形を見たときに「なんていうデッサン力、表現力だろう」と思ってすぐに「二人展しましょう!」と声をかけたのでした。

藤村さんと話をしていて思うことがあります。それは、どんな状況でも、必ず、運が向くような言葉をくれるということです。話していて、マイナスな話には絶対になりません。創作においても同じです。今回の2人のチャレンジは陶芸制作にまで及びました。お互いに「縫う」、「描く」、で精一杯なスケジューリングであるにもかかわらず、作陶という無茶ぶりを目一杯楽しんでくれたのです。(陶芸指導を引き受けてくれた陶芸家・加藤晋さんのサポートがあってこそでした。ありがとうございました)

明日は「Bungaku Cartoon」3日目。ぜひそんな素敵な作家・藤村みゆきさんと会いに、アルティオ会場にいらしてください。

絵は展示中の古山作品「Lucky Cat ヘミングウェイの猫」

 

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正岡子規「はて知らずの記」を辿る「子規と歩いた宮城」転載連載、続きをアップします。今回は松島を離れ多賀城政庁跡へと歩をすすめます。(先日、「誰か読んでくれているのかしら???」と書いたところ、お読みくださっている方から「読んでますよ」とリアクションをいただきました。ありがとうございます!)

多賀城政庁跡

のぞく目に一千年の風すゞし 子規

 富山観音を下った正岡子規は、再び船上の人となる。塩釜で船を下り、多賀城政庁跡へ先を急ぐ。そして遺跡の傍らに立つ「壺の碑」(つぼのいしぶみ)を前に詠んだのが、今回の句だ。壺の碑とは、西行らによって詠み継がれたみちのく憧憬の歌枕なのだという。


 言うまでもないが、多賀城は、大和の時代、蝦夷(えみし)征伐において朝廷側の拠点となった地だ。対蝦夷戦の前線基地といえば分かりやすいか。そんな時代から時は千年以上過ぎ去った。けれど東北に根を持つ者にとっては、多賀城跡は今なおアイデンティティを問いかけられる場所の一つと思えてならない。


 岩手生まれの私は、この句を歌枕にこの絵を描いたのか?と問われると、答えに詰まる。あえて返すなら、私の歌枕は、丘の向こうに連なる「蝦夷の時代から今につながる名もない人々」だ。


 過去は、時として墓石のような衣をまとう。しかし、何げない風景の向こうに目を凝らすと、キャストとカット割りを変えつつ、今なお繰り返される「歴史」が見え隠れしている。

(絵と文・古山拓)

  

■ 2019.4.18 NEWS ■

FM仙台「in my life」の番組に出演します。人生における大切な一曲を語るという内容です。お相手のパーソナリティは三浦奈々依さん。4月27日土曜12:00オンエアです。
私の悩みに悩んだ一曲が流れます。タイミングが合う方、ぜひお聴きください。