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4月17日からはじまる、人形作家の藤村みゆきさんとのコラボ展「BUNGAKU CARTOON」展が迫っていました。 会場はアルティオです。 藤村さんとは二度目のコラボ展ですが、今回は文豪や文学作品を題材にしまして、表現手法を陶芸までひろげ、表現ストッパーをはずした展示となります。

CARTOONは訳すなら漫画です。トムとジェリーのアニメを見たことが無い方はいないと思います。タイトルでライオンが吠えることで有名なMGMのアニメです。トムジェリの場合、そのタイトルではちなみにトムが吠え(哭き)MGMCartoonと入ります。そして実社会ではあり得ない漫画表現がくりひろげられます。ではトムジェリ的に文豪文学をテーマにCARTOONワールドをやったらどうなるか?

今日は藤村みゆきさんが作品の一部をアルティオにおもちくださいました。ひとこと、換骨奪胎みごとに「素敵!」です。

会期は4月17日から23日まで。会期中アルティオは無休です。 21日日曜日にはギャラリートークもありますので、お楽しみに!

さて、子規のはて知らずの記を辿るは10回目です。

『子規と歩いた宮城』第9回 松島・瑞巌寺


政宗の眼もあらん土用干   子規  

伊達政宗の菩提寺でもある瑞巌寺は、先の津波被害を辛くも逃れた。

塩釜港岸壁に山積みされた瓦礫(がれき)を横目に松島に渡ると、何か大きな力が松島を守ったのではないかとさえ思えてくる。

「古雅幽静はなはだ愛すべきの招提(しょうだい=寺院)なり」とは子規の瑞巌寺へ向けた言葉だ。反面、俳句が彫られた石碑群には「殆ど見るべきなし」と手厳しい評を残している。

彼が唯一認めているのが「春の夜の爪あがりなり瑞巌寺」なる句だ。私はこの句碑を探してさまよったが、ついぞ見つけることができなかった。

諦めて拝観券を買い、庫裏へ上がった。そこには伊達家の威光が差していた。

子規が政宗公の眼(まなこ)を言葉に選び「土用干し」と言い及んだ宝物群。しかし、今の瑞巌寺は大改修に入っており、全容を見ることがかなわなかった。  私は改修後の「土用干し拝観」を自分に約束し、庫裏を後にした。

(絵と文・古山拓:文中「さきの津波被害」とは東日本大震災の津波を差します。瑞巌寺は現在修復を終え一般公開されています)

記憶の遺産-東北大学農学部雨宮キャンパス守衛門
28㎝×20㎝
60,000円(税別)

「ケルティックホーム」
(スコットランド・スカイ島風景)
水彩画
画寸32×23.5㎝:額装寸法44×36.5㎝
¥70,000円(税別)

「青葉城址」隅櫓素描-仙台
水彩画
画寸26×19㎝:額装寸法40×32㎝
¥60,000(税別)

 年度がかわります。そして平成がまもなく終わります。
思い返せば、アニメーターの仕事に就いたのが、1986年=昭和61年。三つの元号に渡って絵の仕事をやってきました。
アニメーター時代は1986年〜1989年。ちょうど昭和の終わりです。その三年間は自分の「仕事のために描くスピード」の基礎を作ってくれました。
平成の31年間は印刷広告の仕事にイラストレーターとして携わってきた時代でした。技術的な学びをした時代だったように思えます。
平成の終わりに近づくにつれ、いくつかの絵本や挿絵という新しいジャンルの仕事をするようになってきました。そのことは、「あなたならこの世界をどう見ますか?」と問われはじめている感じがします。新しい元号の時代は、さらに「わたしの現実」を深めていけると、楽しい時代になりそうです。

昨日、東北大学名誉教授・小林文生先生の講座を受けてきました。(先生との縁は、フランスブルターニュを調べていた頃にさかのぼります。昨年、アルティオの「おはなしの部屋△」にもゲストでいらしてくださっています。)
講座の内容は先生の専門、プルーストでした。先生の渡してくれる「はっ」とする言葉の数々。文学から立ち上がる、現実世界の「見方」にどきどきしていました。

「一本の道があり、柵が続き、花が咲いている」という目の前にある風景は、人にどのように認識されるかで「変わってくる」のです。プルーストの表現にかかる講義は、表現芸術に携わる自分にとって、まさしく啓蒙の講義でした。

良きにつけ悪しきにつけ今の自分を創り出してきたのは,それぞれの時代ではなく、日々選択を繰り返してきた自分です。これからさきも未来を作り選んで行くのは自分自身。目の前に現れる日々=風景=事象は私にしか見えない現実です。時代や風潮に流されることなく,自分にしかない道を選んで生きていくことが新しい時代を生きる責任、のように感じました。

今日の絵は、小林先生との縁を繋いでくれたフランスブルターニュの小村の港です。題は「繋留船」。もやいを解いて、新しい時代に臨みたいです。

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正岡子規「はて知らずの記」を辿る辿った自著転載、今回も松島湾。

松島の名勝のひとつ「五大堂」を湾から見て感じたことです。ちなみに水彩画の元になっているクロッキーは船上での鉛筆速描き。そのクロッキーを元に制作しています。

『子規と歩いた宮城』第9回 松島湾・2
涼しさのここを扇のかなめかな   子規

 子規は、櫂こぐ船頭の松島紹介口上を次のようにつづった。

「…舳に当たりたるは観月楼、楼の右にあるは五大堂、楼の後ろに見ゆる杉の林は瑞巌寺なり。瑞巌寺の左に高き建築は観瀾亭、悄々観瀾亭に続きたるが如きは雄島なり。」

 そして船着き場へ接岸。子規は松島上陸の感激を「恍惚として観月楼に上る。」と「はて知らずの記」に記した。

 今回の句は、私が五大堂を船上から見つけた時に思い出した句だ。船で松島に入ると、五大堂や観蘭亭が海原に向かって「正座」していることに気づく。海原が扇なら、門前町松島が要か。海上交通が高速交通の手段だった昔、ランドマークが海へ向かって座しているのは、至極当然だ。陸から見ていたのでは分からない。

 船着き場前の宿に投宿した子規は、通された部屋の障子を開く。と、そこには焦がれていた島々が広がっていた。

 仙台を出て榴岡、塩釜、そして松島へ。子規の長い一日は、さらに門前町散策へと続いていく。
(絵と文・古山拓)

 

 

 

 

繋留 ラフォーレフーナンの午後

神戸の個展『Beyond the Sea』開催まであとひと月半となりました。準備が進んでいます。お世話になっている「日本橋Art.jP」さんが告知を打ち出してくれました。ありがとうございます。

はじめて神戸を訪れたのは、1999年。阪神淡路大震災の傷跡がまだ残っているときでした。物書きをやっていた友人の縁で、仮設居酒屋を営んでいた女将さんを訪ねたのでした。(女将さんは亡くなられました…)当時、長田区を中心に回ったのですが、震災の残滓がさら地とともにまだあちこちに残っていて仮設住宅もまだありました。

 女将さんは仮設に暮らしていました。小さな部屋だったことが記憶に残っています。そして仮設居酒屋では焼酎を飲みました。アテは「神戸のおふくろの味」。翌日、女将さんが通うお好み焼き屋さんに連れて行ってもらいました。ショッピングセンターに入っている店だったと思います。「神戸で一番美味しいのよ!今度神戸来たら必ずきなさい」…店の名前も残念ながら覚えていません、、、はたして、今、場所が分かるかな??

 その後、しばらく訪れる機会が無かったのですが、商工中金のカレンダー仕事の取材で再訪したのが2012年。そして、2015年、とある神戸開催のグループ展に参加したことがきっかけで訪れました。でも、ともに一泊二日の強行軍、あまりゆっくり見ることができませんでした。

 511日からの個展、場所は三ノ宮トアロードにあるトアギャラリーです。今回は一週間の神戸滞在です。個展出張なので日中はギャラリーに詰めなければなりません。それでも朝と夜は神戸を楽しもうと思っています。1999年に訪れた長田区も行ってみたいです。

 はじめての神戸個展ですが、SNSを通じて知り合った神戸や関西の友だちが個展のDMを店においてくれたり、撒いてくれています。ありがとうございます。もし、「置いてあげるよ〜「「配ってあげる」という方、もしいらっしゃいましたらDMを送りますので、どうぞメッセージをくださいませ。

 下にアップした写真は1999年の神戸長田区です。しかし、自分の髪の黒さにびっくりしました。当時連れて行ってくれた物書きの友人に感謝しています。心からありがとう。

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 正岡子規「はて知らずの記」を辿る辿った自著転載、今回は松島湾です。

 『子規と歩いた宮城』第8回 松島湾・1

「涼しさや かもめはなれぬ 杭の先」  子規

  「山やうやうに開きて海遠く広がる。船より見る島々縦に重なり横に続き遠近弁へ難く其数も亦知り難し。一つと見し島の二つになり三つに分かれ…(中略)…我位置の移るを覚えず海の景色の活きて動くやうにぞ見ゆるなる。」(はて知らずの記より)

 塩釜から船上の人となった子規の松島湾描写だ。私も塩釜汽船発着所から乗船し、湾内クルーズとしゃれ込んだ。目指すは子規と同じく松島の船着き場だ。

 太いエンジン音が高まると、汽船は岸壁を離れ湾内に滑り出した。遠くに一つに見えていた島が、進むにつれ二つ三つと分離していく。子規の描写と同じだ。写真では味わえない動的な面白さ。

 私の心をさざめかせたのは、養殖いかだや、湾内に突き立てられた竹の杭(くい)だ。海原と島々が主旋律なら、カモメたちが羽を休めるそれらは対旋律か。

 風光明媚(めいび)なだけではない、波間にのぞく漁民の暮らし。松島湾の魅力は、海に生きる人の力強さと島々のハーモニーだ。子規もまた、それらが奏でる極上の音楽を「見た」に違いない。

(絵と文・古山拓)

 

 

 

 

絵本「交響曲『第九』歓びよ未来へ!』くすのきしげのり・作/古山拓・絵/PHP研究所
交響曲第九のアジア初演に関わる奇跡のようなエピソードを一冊の絵本に。2018年6月、第九初演百周年にあわせての記念出版。

 

JR東日本「駅長オススメの小さな旅」表紙 水彩イラスト

パンフレット表紙/塩竃神社と塩竈桜・使用画材透明水彩

JR東日本駅長オススメ小さな旅パンフレット表紙水彩イラスト

TVCMコンテ作品集・3

手がけたTVCMコンテです。アニメーターからスタートした画歴を活かし、効果的な画面構成、テンポ・リズムを考えて仕事をしています。

発注元は映像プロダクション様、広告代理店様からのご依頼が主。クライアントは一般企業、公共団体、行政と様々です。

TVCMコンテ  #11——–


TVCMコンテ  #12——–


TVCMコンテ  #13——–


TVCMコンテ  #14-1——– 


 

TVCMコンテ  #14-2——–


TVCMコンテ  #15——–キャラクター案制作+コンテ制作