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下絵の楽しさ

下絵の楽しさ

昨日日曜とあけて今日、自宅の制作室で進行中の絵本の下絵を描いていました。
イラストレーターは誰でもがそうだと思うのですが、下絵って本制作とは違って、発想のエネルギーが必要となりますね。特に物語になると、なおさらです。

下絵は編集者さんとキャッチボールしながら、読者のこころの動きを考えつつ、新しい世界を描き出す作業。映画なら監督とカメラマン、役者をひとりでやっているようなものですから、エネルギーを使って当然といえば当然かもしれません。(映画作りのエネルギーは、総制作時間もかかる人数も違いますから、イラストレーションとは比べ物になりません。あくまで、たとえです)

でも、イマジネーションを広げることができる下絵の段階が、とても好きです。下絵を描き終わって一時間ほどはぼーっとしています。いわゆるたぶん、イマジン枯渇状態。下絵がオーケーになって本描きで使う創造力とは違うものですね。

なんだかイマジネーションというと、ふわふわ無限のようにかんじますが、無から有は生み出せません。描いていて思うことは、紙の上に鉛筆の線であらわれてくるのは、過去の体験や、調べたことなど。それらがかたちを変えて出てくるように思えます。

アップした絵は、一昨年てがけた「しゅるしゅるぱん」(おおぎやなぎちか・作/福音館書店)の裏表紙。
この川もやはり自分がかつて見た川のイメージを思い浮かべながら描いたものです。その川は岩手の北上山中、小学生だった息子と2人旅したときに見つけた川でした。
仕事をいただいてびっくりしたのは、「しゅるしゅるぱん」の主人公の名前です。奇しくも息子と同じ名前だったのです。

イマジネーションの空想世界と現実世界の境界って、奇妙に曖昧なのかもしれません。