2019-04-15
明日に搬入をひかえて、さすがに部屋から一歩も出られません。腰にきますね。いたた。
仙台に巻き起こっている暴風警報はCARTOON警報でもある、、、と思いたいです。
今日の予告編は、開高健のベトナム戦記。こんな感じです。
ラフと色付きプリントを一枚のパネルに入れて展示します。小さいけれど。ラフの鉛筆線の疾走感を楽しんでもらいたいと思っています。
文学からどんな表現ができるのか?テスト版もありますけれど、「こうでなくてはならない」というストッパーを解放することで、発想や表現のヒントをもらえるのがCARTOONのいいところですね。もちろん、定番の水彩表現も展示します。陶芸作品から透明水彩、そして劇画調まで。お客様に「へえ〜、文学をネタに、こんな風に楽しんでもいいんだ」と思ってもらいたいです。
藤村みゆき×古山拓 BUNGAKU CARTOONは17日水曜日スタートです。
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今日の正岡子規「はて知らずの記」をたどる連載は、松島です。舞台となる雄島は、松島の外れにありますが、訪問の価値ありです。
松島・雄島
「細経ぐるりとまはれば石碑ひしひしと並んで木立の如し。」(はて知らずの記より抜粋)
松島水族館の裏手にあるヨットハーバーを横目に、岩塊をくりぬいたほの暗いアプローチを進む。と、そこに小さな島が浮かんでいる。その昔、修行僧が石庵を結び、死者の魂を鎮め祈ったという、雄島だ。先の大津波で橋が流され、残念ながら原稿を書いている今は渡ることが叶わない。(註;現在は既に修復し渡ることができます)
塔婆のごとく石碑が林立する島は、まさに祈りの場所だ。子規も訪れているが、記述はわずか二行と「すゞしさを裸にしたり座禅堂」の一句で終わっている。
私が雄島を訪れる度に思い出す島がある。それは、西の彼方アイルランドのはずれ、大西洋に浮かぶアラン島だ。
アラン島を旅したのは十年以上まえのことだ。岩盤からなるその島には土が、ない。それでも島民は岩を砕いて海藻を敷き、じゃがいもを育て、荒海へと漁に出る。何もないといえばそれまでの島だ。けれどそこは、無力な人間の「それでも生きる」という、魂の声に満ちていた。
雄島もしかり。主がいなくなった石窟に吹きつける風が魂の声となって胸に響く。雄島は私にとってのもう一つのアラン島なのかもしれない。
(絵と文・古山拓)