2019-04-17
このビジュアルはなんでしょう?よーくみると、実は積み重なった本です。
じつはこのイラストレーションは、仙台文学館とのコラボで描いた水彩イラストです。仙台文学館×古山拓のコラボグッズとして文学館オリジナルポストカード、ブックカバーに使用されています。
今日から始まります「藤村みゆきと古山拓のサンジョルディ企画・BUNGAKU CARTOON展」で、会場の一部に使用されています。店長古山久美子のこだわりの店内飾り付けに使われています。会場でにやっとしてもらえると嬉しいです。
搬入はきれいに決まりました。サンジョルディの日が近づいてきました。アートで本に絡む一週間の始まりです。アトリエアルティオでみなさんの笑顔を楽しみにしています。
+++
正岡子規「はて知らずの記」を辿る「子規と歩いた宮城」転載連載、続きをアップします。(読んでくださっている方、はたしているのかしら???)
富山観音
涼しさのここからも眼にあまりけり 子規
雄島を訪ねた子規は、その日のうちに松島から船で富山へと向かう。目指すは奥州三観音のひとつ富山観音だ。
下船後、彼は、地元の子どもの道案内で、小山の頂きにある富山観音への急な坂をひたすら登る。体調芳しくない子規にとって、この行程はかなりの苦行だったにちがいない。
「はて知らずの記」に、実は「涼し」という言葉が、これでもかというほどに登場する。真夏の旅ゆえ涼を求めたという事もあるだろう。けれど子規の足跡をたどると、病に冒されつつあるからだを風景に癒されたゆえの「こころの静けさ」だったのではないか、と私には思えてならない。
私が富山を訪れたのも夏の暑い盛りだった。汗だくになって階段を進む。「取材とはいえ、暑い夏は避けた方がよかったな」などと不埒な考えが頭をよぎる。登り切って、富山観音を背に振り返る。と、眼下に広がる松島におもわず息をのんだ。同時に心に吹き渡ったのは、思いもよらぬ一陣の涼風…。
子規が松島眺望に詠んだ「涼しさ」の 意味を、からだが理解した瞬間だった。
(絵と文・古山拓)