2019-04-21
文学とアートのスペシャルなコラボウィークも中日を過ぎました。今日は日曜、たくさんの方にいらしていただきました。心からありがとうございます。トップのビジュアルは、展示新作から「ウォーターシップダウンのうさぎたち」。
ギャラリートークも10席がすぐに埋まり、立ち見まで。遠くは北海道の方も。
藤村みゆきさんとの「コラボ内幕暴露トーク」もみなさんに楽しんでいただけたようでほっとしています。
伝えたかったことのひとつは、異ジャンルコラボは「壮大な?実験場」=「コラボの実験的試み=発火が、次の定番の仕事にフィードバックして行く」ということ。
お客様の中に今は現役を退いた研究者さんがいましたが、「まさしく、あなた達の言う通りです。一軒無駄に見える実験やテストの繰り返しが新しい結果を生み出すんですよ」
その言葉は私たちにおくらtれたエールとなりました。
トークを聴きにきたアルティオ常連のKyokoちゃんは、なんと、着物できてくれました。
「だって、文豪文学コラボですもの、今日はテーマに合わせて着物よ♫」
となんとうれしいことを。さすがの常連さんです。文学トーンを一段と高めてくれました。
山形余目の家具作家桑原信之くん、通称くわちゃんもサプライズ来訪、時同じくしてミュージシャンの苫米地サトロ君も。サトロ君はいつもの突然ライブを今回も演ってくれました。偶然お店にいらしたお客さんの中には、彼の歌に涙していた方も。
私たちは本当に友だちに恵まれています。くわちゃん、サトロくん、ありがとう。
そして最後に、今回陶芸指導をしてくれた陶芸家の加藤晋さんが来訪。きもちよく中日を締めくくってくれました。あらためてご指導をありがとうございました。
明日はいつもは定休日となる月曜ですが、会期中ですのでもちろんお店を開けています。藤村みゆきさんも来場します。火曜日が最終日です。ぜひ実験コラボを皆さんの目でお確かめください。
会期中は展示のことがついブログのメインになってしまいますが、とある絵本と神戸個展の制作も早朝モードで進行中です。今進んでいる絵本は、いずれ時期が来ましたらお知らせしますね。
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正岡子規「はて知らずの記」を辿る「子規と歩いた宮城」転載連載、続きをアップします。子規は多賀城政庁跡から岩切へ。松島から仙台の戻る道中です。
岩切
蓮の花さくやさびしき停車場 子規
私は、旅がくれる贈り物の一つに、「匂い」があると思っている。旅先で無意識に嗅いだ街角の匂い、食堂の換気、通り過ぎる香水の香り…。場所ごとに異なる匂いは現地でしか得られない。
そんな旅先の匂い記憶が効果を発揮するのは、日常に戻ってからだ。鼻先をかすめた空気が引き金となり、ふと旅記憶が呼び覚まされる。遥かな地を空気まるごと思い出す、極上の旅のみやげだ。
そんな嗅覚を強く刺激する場所のひとつが、駅だと思う。レールの鉄臭さをベースに、駅舎に行き交う人々の様々な想いが振りかけられているのだから、当然といえば当然かもしれない。
今回の句は、正岡子規が多賀城から仙台に戻る途中立ち寄った岩切駅に詠んだものだ。彼は駅舎の匂いを吸い込んだ。旅を終え日常に戻った子規は、東京の空の下で、ふとした拍子に岩切の空気を思い出したのではないか、そう思いたい。
塩釜、松島、そして多賀城とわずか二日間で史跡を訪ねまわった正岡子規。上野駅を出発した七月十九日から、数えて十二日がたっていた。
(絵と文・古山拓)
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。