2019-05-31
ふるさと盛岡の中心に、かつて「盛岡バスセンター」がありました。この呼称自体、かなりの時代を感じさせますね。今ならさしずめセントラルバスターミナルとか、バスステーションとか、まあそんなかんじでしょう。ドック式のバス乗り場が連なっていて、どこか郷愁を感じさせる、好きな場所でした。
数年前に「取り壊される」と聞いて、取材に行きました。建物の中は立ち食い蕎麦やがあったり、両親の代から使われていたに違いない椅子が誇らしげなカフェがあったり、まさに昭和でした。
岩手日報社から年二回出版される「北の文学」。その表紙絵を担当していますが、今回はあえて今は無き記憶の風景を描きました。バスセンターです。
イラストを仕上げて送ると、新聞社の担当さんから「よくぞ描いてくれました」との返信が。岩手在住者にとっても、バスセンターはやはり特別な存在だったんですね。
記憶の風景を描くときに,写真の色は意識的に無視します。塗込めるのは心の色。絵だからできることが、そこにあると思っています。
本の表紙イラストはモノクロですが、原画のカラー版も掲載しておきます。私の記憶の盛岡バスセンターです。
盛岡と言えば、来年2020年の川徳デパートでの個展が決まりました。4月下旬、石割桜が咲く時節になりそうです。