2021-10-14
児童文学「ねんねこねされ」(田沢五月さん・文)の河北新報夕刊連載が始まりました。ぼくはさし絵イラストを担当します。
ものがたりの舞台は、岩手の遠野。
奇しくもぼくは幼年期の1960年代の数年間、父の仕事の関係で遠野に暮らしています。早瀬川の土手に建つ長屋、そして小さな川がそばを流れる県営住宅が記憶のすみかです。
父は、よく、こんなことを言ってぼくを怖がらせました。
夜、山あいに走る明かりに「あれば狐火だじゃい」
秋の日、風に振れるススキに「見えね誰ががふってんだ」
そんな遠野に、子供心にどこかに「もののけ」の気配を感じていました。電話も各家庭に引かれていなかった時代です。
今回の連載の話が来たとき、真っ先の思い出したのはその幼年時代でした。
田沢さんのものがたりに、自分の幼かった頃の記憶をうっすらと重ねて描いてみようと思っています。
毎週木曜掲載、8話完結です。
2021年の遠野ものがたり。二ヶ月間、どうぞお付き合いください。