2024-07-08
蔵王の森にアトリエを構え、3年が過ぎました。
平日は仙台市内の自宅アトリエで過ごし、週末に移動します。
週末ごとに自然の中に身を置くと、季節の移り変わりの早さに驚きます。
先週はまだ緑の匂いがしなかったのに、一週間経っただけでむせかえるようになっていたり、花の気配がなかったのに、数日で野の花が咲き乱れていたり。
そして草花は一定の時期ルーティンで咲くわけではなく、毎年の季節の「ずれ」に驚いています。
一つとして自然の中に同じリズムはありません。
そのことに気づかせてもらっただけでも、森の中に毎週やってくる意味があると感じています。
また、冬の楽しみは雪の上に残された動物の足跡を探すことです。そんな小さなことが楽しみになるとは、森に来る以前は思ってもいなかったことでした。
冬の森ではうさぎやテン、大きな足跡ではカモシカらしい足跡をよく見ます。
動物たちの足跡はただ歩いているだけではありません。立ち止まったり、クルクル回ったり。
彼らも人間に警戒しているのでしょう。そう頻繁に姿を見かけるわけではありません。が、確実に近くにいます。その「近くにいる」という気配がまた嬉しいです。
森の木々に囲まれて過ごしているうちに、「木の向こう側」という視点が絵の中に出てくるようになりました。
この白樺林の向こうに立つ鹿の絵は、私の想像で描いた作品です。決して森の中でこのような情景に出会ったわけではありません。
ですが、とあるきっかけで、脳裏に一瞬で浮かんだイメージがこの絵でした。
そのとあるきっかけとは、一棟のモデルハウスの室内に入ったことでした。
お付き合いいただいているハウスメーカーさんに「あいホーム」さんがあります。
その社長さんから、「モデルルームをアート作品でコーディネートして欲しい」と、アルティオ店主の久美子さんが頼まれ、本社モデルハウス展示場と、若林展示場の2棟アートコーディネートを手がけています。
若林展示場の下見に行った時のことです。
玄関から部屋に入り、廊下を見た瞬間にこの絵のイメージが降ってきたのです。
言い方を変えるなら、「家」から「こんな絵が欲しいんだ」と言われたような気がしました。
「家」という器からイマジネーションを掻き立てられる体験なんて、初めてのことでした。
住まいからどんなイメージをもらえるのか?絵の制作の仕方は色々あって良いと思います。
「あいホーム若林住宅展示場」では、一言受付に話せば、この絵を見ることもできますので、よかったらお出かけください。