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東北の絵

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染師 紺屋町にて・盛岡/岩手

調べものがあり、過去の個展データを開いていました。ふと一枚の船をさらっと水彩で描いた絵のデータがみつかりました。探し物は別の絵でしたが、この絵も以前からデータを探していた一枚でした。描いたのは2010年。場所は岩手陸前高田。震災前の広田半島です。

さっぱ船と呼ばれる、漁につかわれる細身の木造船です。陸に揚げられている様がリスミカルで思わずスケッチしていました。

1998年以降東北の風景を海辺山間部問わずあちこち時間を見つけては取材しましたが、水彩画に描かれた場所は特級品でした。思わず家に電話して、「宝物のような場所を見つけた!」と妻に伝えたことを覚えています。

目の前は海、背には防潮堤。その向こうにはすぐ民家が建っていました。津波に全て飲み込まれたはずで、今は様変わりしているはずです。懐かしく悲しい記憶の一枚です。

調べたものは、まあ、あまり意味をなさないものでした。この絵のデータを見つけるためのことだったのかもしれません。

山形個展初日、最初に嫁いだ絵は宮沢賢治をテーマにした作品でした。お客様は大沼デパートに偶然いらした方。いつも思うのですが、絵の嫁ぎ方にはなにか見えざる力のようなものを感じます。偶然とは違うような、なにか。いつもギャラリーにあるのは不思議感。ちょっと考え過ぎかな???

遠方のお客様で、お持ち帰りをご希望となりましたので、もうその絵は会場で見られません。すでにお客様の家の壁にかけられたのかな?巣立った自分の子供のようで、やっぱり気になるものです。

今回の個展では、宮沢賢治CDの山形初お披露目ということもあり、賢治作品も数点展示しています。

今日もいい出会いを楽しみに、午後イチから会場に入ります。ありがとうございます。

仙台立町のアトリエアルティオは今日木曜と明日金曜は妻がオープンさせています。なにかのついで、こちらもお立ち寄りくださいね。(土日は妻共々山形会場へ入るため臨時休業となります)

大沼個展、会期は9月4日までです。

 

 

いくつかの仕事が同時進行は,世の中の常。
どんな仕事でも複数の事柄が並列で動いているものです。絵を描くなんていう一見単純にみえる作業であっても、描いている最中に別の仕事のアイデアを考えていたりします。そんなもんです仕事人絵描きは。

…とかくと、たいそうなもんだ、と思われそうですが、私の場合、4つの事柄を同時進行させるとなると、なにかが抜け落ちる。げに危険なマルチタスク。

今日の午後のことです。絵を梱包し宅急便を出さなければなりませんでした。荷造りをして、クルマに積み込んだまではいいのですが、気がつくと集荷センターに向かうのがすっぽ抜け。考えていたのは別の仕事のこと…ハンドルは自宅アトリエに向かっていました(汗)途中ではっときづき、Uターンした自分にあきれた。

40代は5つぐらいの仕事の同時進行もできましたが、今は3つがセーフラインかな。

発送した絵は山形へ向かいました。明日から大沼で予告編用作品が展示されるとのことです。

山形と言えば、山形余目の家具作家桑ちゃんが、わざわざ立ち寄ってくれました。

先月一緒に展示したときの椅子が仙台の方に嫁いだのでした。うれしかったな。

 

「ぼくは地産地消作家だよ」

縁あってお付き合いいただいている児童文学作家、くすのきしげのり先生の言葉です。活躍の場は、中央の出版界、そして全国の書店、講演会場。数えきれないほどの著作と講演回数を持ちながら、それでも故郷の徳島鳴門にベースをおき創作活動しています。

地元から出る術を持てない表現者が悲しくも口にする「地元にこだわる」とは根本的に違います。先生のベースは、生まれ育った鳴門。地元での活動もしつつ、本戦は全国。先生の言う「地産地消作家」というユーモアセンスに脱帽します。

今朝、河北新報の朝刊にて、先生と8月11日に郡山で対談してきたことが取り上げられました。「交響曲『第九』歓びよ未来へ!」についてのおはなしでしたが、私は席上、流れもあって好きで何度も旅した奥会津のことを東北人として話しました。 くりかえしますが会場は福島県です。くすのき先生は徳島鳴門から、そし私は宮城仙台からの参加。そして講演内容は、国境をも越えた世界に通じること。わたしは岩手で生まれ仙台で働く東北の作家として、地域を越えて何ができるのかを、あらためて考えさせられました。

日本は狭くなりました。負け惜しみではない「地産地消作家」として私も頑張ろうと思います。

 

 

連作 「広瀬川に遊ぶ子供の情景」から

『濡らすなよ』(千代大橋付近)

 

『夏の終わり』(熊ヶ根)

 

『なにもしないよ』(大橋)

 

『夏の日』(角五郎付近)

『いつもの場所』(霊屋橋)

『小遣いの使い道』(愛宕橋のたもと)

 

『放課後』(八幡付近)

『じっとなんかしてられない』(牛越橋)

 

 

 

 

 

 

あの日から7年後の311企画。「海画展」はそんな想いで企画した展示です。
明日、その3月11日を迎えます。トップ絵は震災前の気仙沼。港の対岸、造船所がありました。そのあたり。

「海の物語から描く」
「船を描く」
「震災前のスケッチから描く」
と三つのテーマで3ヶ月のロングラン展覧会にチャレンジしてきました。

あらためて思ったことは、「海を描く」ということは、「海に関わる海以外のもの」を描く、ということでもあるのです。
なんだか、光を描こうとするときに、自ずと影を描かなければならないということに通じるな、、、なんて常に思いながらの制作でした。

正直に言います。いろいろな事情が重なり、今回ほど気持ちが大変な展覧会はありませんでした。興行成績的には成功とは言いがたい数字でしょう。はっきり言えば持ち出しばかりの赤字興行です。
だけど、明日3月11日を目前にして、やった意義はおおいにあった、と思いたい。
なぜなら、この企画をもって私の中では海と震災に一区切りつけることができたから。

何を得たか?
それは数年経ってわかること。今はなにもわかりません。
いえることは,我流絵描き・イラストレーターとして這ってきた自分にしかできない表現をしたということ。

昨晩、企画の屋台骨のひとつ、シンガーソングライター「苫米地サトロライブ」が素敵なかたちで終わりました。
友人である彼の大好きな歌に「青空」があります。
彼が震災の応援ソングとして作った歌です。
昨日の彼の歌とリズムを刻むステップには、鬼気迫るものがありました。

その歌詞から引用で、明日にたむけたいとおもいます。

  *  *  *
泣きながら行け 泣かないって決めるな
迷いながら行け 泣かないって決めるな
震えながら行け 泣かないって決めるな
泣きながら行け 泣きながら行け 泣きながら行こうぜ
逃げないって決めたなら

サトロ君、ありがとう。

仙台も夕方から雪景色です。気温が下がっているのでパウダースノーっぽいです。

東北の雪は日本海側と太平洋側では質が違います。10代まで暮らしていた岩手の雪はさらさらでした。それはすなわち気温が低いということです。こどものころ、学校帰りの道路の脇の田んぼに「ばふっ!!」と背中からダイビングするのが楽しかった記憶があります。あ、もちろん、田んぼは雪原状態。

柔らかな雪なので、擬音の表現は「ずぼっ!」ではなく「ばふっ!」なのです。起き上がると雪はさらさらとオーバーの上をすべってきれいなものでした。でも長靴のなかに入って、びしょぬれ。家でしかられるのが常でしたが。

岩手の冬で思い出したのが、毎朝、長靴をストーブの前に置いてあたためておくこと。暖めておくかおかないかで登校の勢いが多いにちがうんだよね。

明日のアルティオは客足はそうないだろうけど、ちょっと早起きして雪掻きです。

絵は岩手の開拓村の雪景色。きょうあたり、冬の酪農地帯は凛とした空気に包まれています。

 

311メモリアル企画「海画展」(KAIGA-TEN)はじまりました。
昨日から第一期「水平線のことば絵」展がアルティオでスタートです。

同時にkaffe tomteさん、バレアリックコーヒーロースターさんでも海の絵をごらんいただけます。

ぜひ、ご来場ください。

今回アップの作品は、正岡子規「はて知らずの記」より、子規が秋田の象潟あたりで詠んだ句から描いた一枚。
「夕日に馬洗いけり秋の海」

わたしは書家ではないので、字も絵と思ってくださいね。

 

年末から連峰縦走のごときです。息切れで、ぱちぱちとブログ。
ただ描くのではなく、発想が試される仕事が続いているのが縦走の原因ですね。発想は脳に糖分を必要としますね、チョコがうまい♩

コレを描いてね、ではなく、こんなのがほしいのですが、、、というオーダーは坂道の傾斜が読めない登山のごとくかも。登山家ではないけれど(笑)

今日はそのうえ、エッセイ原稿を書く仕事が締め切り直前。。。これまたいつもとは全く違う脳の部位を使うんだな。。。チョコもう一個追加♩

脳と言えば、脳学の専門家が出す本の説明イラストをやっぱり現在進行形で担当中。こんなときの自分の脳ってどうなっているんだろう?今度学者さんに聞いてみよう^_^
モノヅクリ力が試されている昨今、なんとか乗り切らねば、、、がんばろう。

すみません、今回はただの独り言ですね。

絵は、仕事の山は単独峰がいいなあ、ということで、水彩で描いた鳥海山です^_^

山で食べるチョコも美味しい♩

この絵は、ありがたいことに本荘にある病院様の個室の病室にかけられています。