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それは強く優しい書でした。末尾に私が恥ずかしながら蓮の絵を描かせていただいた作品です。揮毫したのは書家、菅原紫雲先生です。冒頭スナップは、メディアテークで開催中の「2019みやぎを魅せる書展」(8日最終日)で先生とご一緒した写真です。

紫雲先生との出会いは10年前にさかのぼります。私とガラス作家、染織作家の三人で仙台・森民酒造酒造本家の酒蔵を借り切って「広瀬川美術蔵」なるアートイベントを開催ました。その会場にいらしてくださったのが縁のはじまりです。
宮城の銘酒のひとつ「伯楽星」の題字を書かれた先生です。「ああ!あのラベルの書!」とうなずく方も多いでしょう。

アルティオギャラリーに何度もいらしてくださっているのですが、二ヶ月ほど前、「相談があります」と立ち寄られました。聞くと障がいをもったお兄様を亡くされたこと、そしてお兄様への思いを書に表現したい。最後に私に蓮を一輪描き込んでほしい。そんな重量のある依頼でした。

アルティオに持ち込まれた和紙には、すでに亡きお兄様への想いが、障がいをもった人々への感謝の言葉とともに愛情にあふれた筆致で刻まれていました。書き上げられた言葉を丁寧に読み上げながら「最後の空白。ここに蓮をお願いします。」

残された余白に描く、、、。躊躇しなかったといえば嘘になります。何度も描いた中からよくできた一枚を選ぶのではありません。一回で描き切らなければなりません。失敗は許されない。
筆を入れる日、こんな私であっても心を鎮めることから入りました。(もちろん事前に鉛筆ドローイングと打ち込みならぬ描き込みを繰り返しています)あとは一気。

お渡しした日からひと月ほどが過ぎ、そして今日。紫雲先生の大作は、障がい者を長いあいだ看取ってきた方にしか表現し得ない「静謐なる感謝」を光とともに放っていました。そんな紫雲先生だからこそ、わたしのようなアウトサイダーを優しくも受け入れてくれたのだと思います。あり得ない機会をいただきありがとうございました。
先生の作品写真をアップします。ぜひ、揮毫された内容をご一読ください。
「2019みやぎを魅せる書展」は8日が最終日です。

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正岡子規「はて知らずの記」を辿る連載は,偶然にも私と縁のある、もう一人の書家との交流にも触れていました…。予定調和でしょうか?不思議な感じです。今回子規の足跡に訪ねた場所は、仙台・国見です。

書家伊藤康子さんとの合作もアップします。同じ場所に取材した、全く違う水彩と墨絵をお楽しみください。

 仙台・国見
夕立の 見るゝゝ 山を下りけり  子規

 実は私はこの句をもとに、書家と一つの作品を共作したことがある。私が墨画を描き、同じ紙に書家が子規の句を揮ごうした。この共作で私は、作家がお互いの心の深い領域まで踏み込まないと作品にならない、という貴重な経験をさせてもらった。もっとも作品が完成したのは、私の稚拙さを、書家が鷹揚に構え補ってくれたからに他ならない。

 何を言いたいかというと、表現者のキャッチボールで生まれる化学反応の面白さだ。正岡子規は、国見の南山閣にて、歌人鮎貝槐園(かいえん)といくつもの歌詠みを交わす。子規が「涼しさのはてより出たり海の月」と詠むと、同じ心を槐園は次のように返したという。

 はたゝかみ遠くひゝきて波のほの月よりはるゝ夕立の雨  槐園

 文人が集った南山閣には、きらめくような言葉の化学反応が起こっていた。国見に生まれた作品たちは、表現者同士の魂の交歓だったのではないだろうか。

 国見の高台の今は、住宅地だ。何本もの電柱と遠くに見える木々が「夕立くだった青葉山」をトリミングしていた。
(絵と文・古山拓)

  

書家伊藤康子先生との共作。(サイズ全紙)

だれでも子供の頃、何かに影響を受けて今があります。それはある人は野球かもしれないし、サッカーかもしれない。ラグビーってこともあるし、踊ることや釣り、木登りかもしれません。自分に影響を与えたモノってなんだろう?と考えるきっかけがありました。今年四月開催する人形作家さんとの二人展企画のアイデア出しの時のことです。

過去に遡ってみます。私の場合は好きでやっていたことって、小学生の頃は、貝塚ひろしの戦記マンガや松本零士の戦場まんがシリーズをまねて描くことでした。

中学高校では映画にはまり、テレビとは違う映像アートに夢中になりました。
ヤマトや999の時代です。アニメもよく観ました。出崎統と杉野昭夫が作り出す「家なき子」「あしたのジョー2」そして原作換骨奪胎の名作「宝島」が好きでした。(過去形じゃなく今も好き)

大学では、谷口ジロー「事件屋稼業」や守村大の「イブのおくりもの」、大友克洋「気分はもう戦争」に新しい世界を見、「アキラ」は雑誌掲載のトビラをスクラップ。よくアングルをマネしてラクガキしていました。

その後、アニメーターとして社会人をスタートしましたが、それは自然な流れだったように思います。
当時のアニメーターの師匠は「いいアニメーターになりたいならアニメを観るな。映画と能を見ろ」と私に言いました。当時、能は分からなかったけど、映画だけはよく観ました。

こうみてみると、絵画がほとんど出てきません。今の自分の基層となり血肉を作ってくれたのは、紛れもなく映画とマンガ=カートゥーンでした。

昨日、人形作家の藤村みゆきさんと四月開催の二人展「ブンガク・カートゥーン展」の打ち合わせがありました。
文豪や文学を題材にした二人展ですが、タイトルにはあえてカートゥーン=マンガという言葉をもってきました。
自分にエネルギーを与えてくれた世界を大切にし、敬意を評し、楽しんでみたいと思っています。

何が生まれるか、自分でもわかりません。二人で話していると、どんどんやりたいことが出てきます。

深いところで基礎となっている感覚を大事に、それこそポップコーンのように弾き出せたら楽しいだろうなと思っています。

(アップしたマンガは二人展とは全く関係ありませんが、実話です)

アルティオによくいらしてくださるお客様、Y.Iさん。
Y.Iさんが、とあるテキストセミナーに出席、提出作例にわたしどもの「ちび絵」を取り上げ、紹介文を作ってくださいました。(「ちび絵」とは6.5センチ×6.5センチという小さなスクエア画寸の水彩画やアクリル画をあらわした、アルティオオリジナルネーミング絵画です。「海外の旅風景」「日本の風景」「花」「動物」など、さまざまなモチーフがあります。)

Y.Iさんが紡いだ文章には、描き手では書き得ない、やさしいまなざしがあふれていました。嬉しくもその文章を先日「テキストセミナーの感想の一部分」として、SNSで紹介してくれました。転載許可をいただきましたので紹介させてください。だってとても嬉しかったのです。

『ちび絵。それは画家の古山拓さんによって描かれる、あたたかな想い。ひとつひとつにストーリーがあり、その背景を知らなくても不思議と持つべき人の手に届いてしまう。両手におさまるサイズは「自分の絵」という気持ちをかきたて、愛着が増す。多彩なタッチ、様々なテーマに、ほしい絵が増えていく。』

感謝です…小さな世界から広がる、よりたくさんの物語を、丁寧に描き続けたいと思います。ありがとうございます!

今日アルティオは企画展「水彩で描くヨーロッパ展」開催中ということもあり、オープンしていました。

壁面バックヤードアトリエで描いていたちび絵は、お客様からオーダーいただいた「原爆ドーム」でした。私が昨年広島へ旅したことを知ったお客様が、「とある想い」を抱いてのオーダーでした。

小さなサイズに描く原爆ドームはとても大きく重かったです。(画像はドローイングの一部です)

「フィンランディア」 ヘルシンキ

オカムラ食品:ポート様メッセージカードイラスト

使用画材 透明水彩  ペインター

「絵って注文できるものなの?」「画家さんに描いて!ってお願いするなんてできないと思ってた」….

いらっしゃるお客様からよく言われることです。

アルティオでは注文タリフをお見せしつつ、過去作例も見てもらい、おかげさまで水彩画の注文制作をいただいています。

絵描きさんに描いてほしいものがあるけど、はたしていくら位するのか?お願いの仕方もわからない。そんな疑問をなんとかしたい、、、^_^と、当サイト内にオーダーページを作りました。

古山拓は、いままで卒業した母校の絵や、思い出の旅風景、ペットの絵、お孫さんの絵など、多数水彩画のご注文をいただいています。今日も「生まれたばかりの赤ちゃんを描いてほしい」と写真をお借りしたばかりです。

オーダーフォームから相談していただき、メールで何度かやり取りして正式に依頼が決まってから制作にかかりますのでご安心ください。

お客様のオーダーで過去描いた作品集もオーダーページ巻末に掲載していますので、どうぞご覧ください。そして、みなさんの思い出に、プレゼントに、一枚の絵を遠慮なくお問い合わせください。

アトリエアルティオ

 

 

 

 

ヘルシンキの港 北欧・フィンランド・ヘルシンキ(透明水彩)

先日、とある電話営業がありました。「ホームページのSEO対策をさせてください」との営業でした。その内容の営業電話は今までも何度か来ました。

大概水彩画の手がはなせない制作中だったり、教室の最中だったりしますので即お断りします。が、先日の電話のときは、仕事の合間、時間もあったのでちょっと話だけ聞いてみました。

まあ、当然営業ですから最後はかかる料金の話になるわけで、「ごめんなさいね、ちょっと無理」とお断り。でもその電話営業の方がしゃべる内容のあちこちに、何かの種や明日へのヒントが見えたりして、、、。たぶん電話の向こうの彼は、マニュアルセオリー通りに話して気がつかずにいると思うけど。

断わりましたが、話を聞いてイイモンゲット♩と思った一本の電話でした。たまに時間があるときは電話営業の話を聞くのも悪くないです。(自営業はやること山積み、無い方がほとんどだけど)

今日の絵は、アルティオで展示中の「ヨットハーバー」
北欧フィンランド・ヘルシンキに取材した透明水彩画です。

 

インドに2012年、旅しています。岡山の友人僧侶からお招きいただいてのインドに立つ東日本大震災慰霊塔建立式典参列を兼ねた巡礼旅でした。(別ブログで記事にしています。よかったらご覧ください→アルティオ日記1_アルティオ日記2

その時ナグプールの路地で,床屋さんをみかけ、ラフスケッチしていました。戻って水彩画に仕上げようとしましたが、普通に透明水彩で描いたのでは感じたインドの空気感が出ず、水彩紙にマチエールを作ることでなんとか「自分のインド」が表現できました。

友だちに自宅近所で美容室fashion studio SAMを経営する美容師・高橋修さん:通称SAMがいます。前回のブログで「おはなしの部屋△」にゲストで来てくれた男です。

彼とは二十年を越える付き合いです。絵本を出版するときに有形無形で後押ししてくれたり、子供の釣りの師匠だったり、アルティオオープンの5年前、店舗オープンを手伝ってくれたり、とてもいい刺激をくれる彼ですが、昨日店が創立28周年を迎えました。

私たちは「お祝いに何か送りたいね」と、前述の「インドの床屋」の絵を送りました。

嬉しくも彼は昨日フェイスブックにその歓びを綴ってくれていました。ありがとうございます!!

写真に写った「インドの床屋」の絵も「ここに来たかったんだよ」と言っているようで、、、私たちもとても嬉しいです。

SAMはこれからもいい刺激と素敵なヘアーを、私たちはじめお客さんに届けてくれます。

美容室fashion studio SAMは、伝説の店です。素敵なエネルギーがもらえます。ぜひ行ってみてください。
http://sam-samurai.com/

 

 

 

「あなたの一日が世界を変える」

そんな大それたことってできるんだろうか???普通そう思いますよね。

でも、できます。

じゃあ、どうすればできるのか?

その答えを書いた絵本が、くすのきしげのり先生作、私が絵を担当した「あなたの一日が世界を変える」(PHP研究所・刊)です。

この本は2016年に刊行された絵本ですが、今日、アルティオに絵本の内容に感銘し、「絵本を紙芝居にして、施設などで広めたい」という希望をもったお客様が遠方から見えました。

ボランティアで絵本の内容を広めたいとの想いに出版社からも了解をいただきました。

「絵本は出版されて終わりじゃない。育てて行かなきゃならないんだよね」とは、作者のくすのき先生の言葉です。

このおはなしがまた違うフィールドで広まって行く。そして少しだけ、世界が変わる。

私のような小さな存在でも、こうしてチェンジの小さなきっかけを作ることができました。感謝です。


なんだか絵本がすこしずつ成長して行くような気がしています。